「一緒に虹を、見てみたい」
一階のエントランスの隣にある、小さな喫茶店を塩見君が指差し、私達は三人でそこに入ることになった。
ガランッと扉を開くと、コーヒーの良い香りが漂う、小さな店内。
窓際の席に腰を下ろすと、ようやく一段落着いたようで、私は大きく深呼吸をした。
オレンジジュースとコーラを二つ頼むと、私は目の前にいる嶋原君をまじまじ見つめてしまう。
「あ……そういえば、名前は」
「恵口です。恵口希花」
「キカって、珍しい名前だね。どういう漢字?」
「希望の希に、お花の花で、希花」
「良い名前だね」
いつだっただろう、以前も嶋原君に名前を褒められて、とても嬉しかったことを思い出す。