「一緒に虹を、見てみたい」






 言うと、携帯を取り出して、二人で写った写真を嶋原君に見えるように渡す。

「二人で写ってるね。ここ、どこ?」

「プラネタリウムに行った帰りに、駅のバス停で撮ったの。覚えて……ない、よね」

「ごめん」

 写真を見せても、記憶は戻らない。

「また、嶋原君とどこかに出かけたい」

「ありがとう、そうだね。行こうか。俺も、行ってみたいな」

 友達だと言うと、嶋原君は容易に受け入れてくれる。

「でも、また週末から天気が回復しそうだから、平日しか出かけられそうにないんだ」

 じゃあ、平日の放課後にどこかに行こう、と言う私は、いつの間にか必死になっている。

 一時でも嶋原君の手を離したくなくて、離してしまった後に、離れ離れになるのが怖くてたまらない。






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