「一緒に虹を、見てみたい」





「二人ともお待たせ」

 まもなく塩見君が席に帰って来て、放課後皆でどこかへ行かないか、という話になったことを言ったものの、三年生の先輩達が引退して、バスケ部のキャプテンになった塩見君は、部活を休むことができないらしい。

 そういえば、石黒さんも試合が近いって、ここ数日、放課後になると走って教室を後にしていた。

「恵口さん、嶋原と二人でどこか行ってきなよ」

「恵口と二人で?」

「恵口さん、せっかく嶋原いるんだし、いいんじゃない?」

 そう、塩見君は言ってくれて、その日は喫茶店で嶋原君と別れたのだが──

「本当は二人で行ってほしくない」

 雨の中歩き出してすぐ、塩見君は私の腕をギュッと握ってきた。

 塩見君の右腕が、雨にさらされ濡れていく。

「ガチな話、恵口さんは嶋原のこと、どう思ってるわけ」






< 179 / 275 >

この作品をシェア

pagetop