「一緒に虹を、見てみたい」
「二人ともお待たせ」
まもなく塩見君が席に帰って来て、放課後皆でどこかへ行かないか、という話になったことを言ったものの、三年生の先輩達が引退して、バスケ部のキャプテンになった塩見君は、部活を休むことができないらしい。
そういえば、石黒さんも試合が近いって、ここ数日、放課後になると走って教室を後にしていた。
「恵口さん、嶋原と二人でどこか行ってきなよ」
「恵口と二人で?」
「恵口さん、せっかく嶋原いるんだし、いいんじゃない?」
そう、塩見君は言ってくれて、その日は喫茶店で嶋原君と別れたのだが──
「本当は二人で行ってほしくない」
雨の中歩き出してすぐ、塩見君は私の腕をギュッと握ってきた。
塩見君の右腕が、雨にさらされ濡れていく。
「ガチな話、恵口さんは嶋原のこと、どう思ってるわけ」