「一緒に虹を、見てみたい」
第九章 『青空に線を引く』
~恵口希花~
嶋原君の消失のタイムリミットまで、後四日。
週明け、私は放課後になると、嶋原君と二人バスに揺られていた。
一旦駅まで行って、そこから再び違うバスに乗り換えて、水族館へ。
どこかへ行こうとなったのだが、行く場所は限られており、嶋原君が久々に水族館へ行きたいと言ったからである。
「恵口は、水族館いつぶりなの?」
「去年の夏に、塩見君と石黒さんと嶋原君、四人で行ったきりかな」
「俺も一緒にいたんだ。俺は、家族と小さい頃に行ったのが、最後だと思ってた」
バスが曲がる度に触れる肩にドキドキしながら、暫くすると、海辺の水族館が見えてくる。
雨が降っており、荒々しい波が打ち寄せる海岸には、人っ子一人いない。