「一緒に虹を、見てみたい」

「嶋原君、前も同じこと言ってたよ」

「そうなんだ、感覚は変わらないんだろうね」

　ヤジブカに、トラフザメ、コガネシマアジ。

　私達は水槽を見ながら、ゆっくりこの一時を楽しむ。

　そして暫く歩くと、大水槽の前に出て、二度目でもわぁ……と感激した。

　大きな水槽を、イワシの大群が右往左往しており、その下で巨大なエイがユラユラ揺れたり、サメのような魚が、底をゆっくり泳いでいる。

　岩には真っ赤なヒトデが張り付いており、青く光るクラゲもいる。

　とても美しい、幻想的な光景。

　隣を見ると、嶋原君も同じように水槽を見上げており、笑っている。

　この一時が、きっと後でかけがえのない思い出になるに違いない。

　ドキドキ高鳴る鼓動に、切なさが込み上げてきて、私は視線を外す。