「一緒に虹を、見てみたい」
申し訳無さそうな嶋原君の手を離さず、私は濡れたまま、彼を見上げる。
「雨、パラパラになってきたね」
嶋原君の言葉に辺りを見渡すと、学校を出る時よりも雨足が弱まっている。
「来て早々ホントに悪いけど、そろそろ帰らないと」
嶋原君は苦しそうに喉元に手を当てると、頭を下げてきた。
「そう……だよね、ううん。来てくれて……本当にありがとう」
「ごめんね」
「……ううん、大丈夫」
そして、ほんの五分も経たないうちに、嶋原君が私の前から再び去ろうとした瞬間だった。
「うっ」
突然、嶋原君は膝に手をつくと、肩で息をし始めてしまった。