「一緒に虹を、見てみたい」






 同じく三年間一緒にいた塩見君とは、実は同大学に進学予定で、私は知り合いがいて、心強く思っていた。

「二人は学部も学科も一緒だからいいよ。私は一人ぼっちなんだから」

「石黒ならすぐ友達できるって。本当に、三年間ありがとう。俺、楽しかったわ」

 私達は三人で抱き合って、笑い合う。

 ここに嶋原君がいれば一番良かったのだが、彼は今、何をしているのだろう。

 待っているのに、何の情報もなく、更に距離が遠くなってゆく。

 卒業式も終わり、いよいよ校門を出て振り返ると、白い校舎にはもう戻れない気がして、私は中々足を進めることができなかった。

 ここを出てしまったら、嶋原君とはこの学校では会えない。

 制服を来た嶋原君が、どんどん遠くなっていく。




< 211 / 275 >

この作品をシェア

pagetop