「一緒に虹を、見てみたい」
*
「じゃあ、希花ちゃん、体には気を付けて。何かあったら、すぐに連絡するのよ」
スーツで参加した大学の入学式が終わると、両親はA街へと帰って行った。
ここからA街までは、飛行機で二時間の距離。そう簡単には帰れない。
一人きりでの生活は初めてで少し不安だったが、いざ学校へ行って見ると、とても自由な感じで、高校の時とはまた雰囲気が違う。
それに、同じ学科には心強い塩見君がいたから、私は塩見君を含んだ男女のグループで、よく過ごすようになった。
明るく元気な塩見君は、ここでもリーダーシップがあって、皆に好かれている。
一回生の時は、毎日朝九時から六時までの、みっちり五限授業だが、生活は充実していた。
サークルには、同じ学科の友達に誘われて、写真部に入部した。