「一緒に虹を、見てみたい」
“そう、これで成功できれば、もう消えずに済むから”
もし成功ならば、嶋原君はこの世界でずっと生き続けることができる。
それを、私は今まで、何度心から望んだことだろう。
“もう行くから、また終わったら連絡する”
それ以降は何もメッセージが来ることなく、私は振袖のまま館内で立ち尽くす。
違う世界から、嶋原君が帰って来ている。
幾度となく願った現実を前に、私はじんわり熱い物を感じながら、メッセージが送られてきた携帯を握り締めた。