「一緒に虹を、見てみたい」
「ちょっとあなた、危ないから」
「じゃあ、一旦止まって見てみようか」
父は人形を片手に持ったまま、何度も通ったことのある道だから、と更にグングンスピードを上げて、山道を上ろうした矢先だった。
「うわっ……!」
突然現れた“工事中”の看板を避けようと、左に急ハンドルを切ってしまい──
私達の乗った車は、一瞬宙に浮いた後、深い山の中へと突き落とされてしまったのだ。
後部座席に座っていた私は、父の座る運転席の運転シートで何度も体をぶつけ、床に強く体を打った。
ガシャガシャ、バキバキ。木々の上から真っ逆さまに落とされた車は、大きな岩にぶつかりやがて停止した。
一瞬、何が起こったのか理解できずに、痛めた体のまま運転席を見ると、岩にぶつかった車はねじ曲がり、父の足を巻き込んでいる。
「お父さんっ!」