「一緒に虹を、見てみたい」






*

 週の半分、残り数日学校に行くと週末に入り、土曜日になると、私はおばさんと買い出しに行って料理を作っていた。

 あと三十分で午後六時、一応私の家で夜ご飯を食べて、その後ガレージで手持ち花火をすることになっている。

「希花ちゃん、そろそろハンバーグ、焼いてくれないかしら」

 トレーに乗ったハンバーグのタネを、熱したフライパンの上に乗せる。

 瞬間、ジュ―ッ、と食欲をそそる音を立てる。

「今日は嶋原君も来るのよね? 会うの久しぶりだわ」

「あっ、でも……」

 記憶の事情を知らないおばさんに、自分なりの言葉で説明すると、おばさんは目を点にして、剥きかけのジャガイモを持ったまま固まった。

「……そんな事情があったなんて、初めて知った」

「私も、最初はビックリだったんですけれど」

「じゃあ、うちに来た記憶ももうなっていこと?」

「そうですね」

 あの日、うちに上がって一緒にロールケーキを食べた嶋原君は、もういない。

「記憶が消えるって、言葉で表せないくらい、辛いですよね……」







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