私だけのヒーロー
「宮内ーこの問題解いてみろー」
えっ!なんて言ってたっけ?えーっと、えーっと、、、?分かんない!無理無理無理西村先生ー
「わ、わかりません、、、」
「おい宮内!今の説明ちゃんと聞いてたらわかるはずだぞ!みんな、宮内みたいになるなよ!」
先生の言葉でクラスは爆笑の渦に包まれた。ひどいよ先生、、、みんな、、、思わず、悲しくて涙が出てくる。バレないようにぎゅっと目を瞑ったその時、隣の席の霧谷くんがガタッと椅子を鳴らして立ち上がった!そして、低い声で
「先生、宮内さんに謝ってください!宮内さん、傷つきますよ。」
その剣幕に押されたように、先生は
「ご、ごめんよ」
と小さな声で言った。

授業後の休み時間。私は絶対に霧谷くんにありがとうを言うと決めていた。だから、今こうしてグラウンドに出ようとする霧谷くんと向かい合っているのだけど、、、霧谷くんの瞳が優しいオーラまんさいなのですっ!見惚れてしまうのですっ!私のようなブスが霧谷くんに見つめられるなんて、、、。
「さっき、先生に謝れって言ってくれて、ありがとう!」
満開の笑顔でそう言うと、なぜか霧谷くんがゆっくりと顔を背けた。なんでっ!!
「そんなにかわいい顔でみつめないでくれない?俺の心臓、持たないんだけど。」
と照れながら呟いたのです!
「これからは菜々って呼んでいい?俺のことも蒼って呼んでくれない?だってもっと、、、」
照れながら蒼くんは呟いた。
「そう、くん」
呼び慣れない名前を呼ぶたびに胸の奥がキュッとなる。胸を押さえて私は考える。この気持ちは、、、なに?
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