学校一のイケメンと噂の先輩は、優しい吸血鬼でした
翌日、とうとう3年生の先輩方に呼び出された。
人目のつかないところまで連れていかれて、5人に囲まれる。
話を聞いているに、全員先輩のガチ恋で協定を結んでいるとかなんとか。
「この3年間、ちょっとずつ奏くんと距離を縮めてきたのに、急に出てきた1年なんかが奏くんと結ばれるなんて嫌。」
嫌と言われても…。それに結ばれてはない。
なんて口答えできる状況でもない。
とりあえず私は控えめな態度で相槌を打つ。
「ねぇ、聞いてる?」
「もちろん聞いてます…。」
「じゃあ奏くんとは距離を置いてくれるよね?」
「えっと、それは……。」
先輩は何もしていないのに、私がこの人たちの言われた通りに先輩を避けるのは、先輩に失礼なのでは…。
「え〜、それは困るなぁ。」
私が明確に答えられないでいると、輪の外から聞き覚えのある声がする。
「奏くん?なんでここに…。」
「それって今重要?君たちが秦野ちゃんを囲んで脅してる事よりも?」
「脅してなんか…!」
「脅してるよね。多数で1人を囲めば逃げられないし、もうそれだけで十分な脅しになるよ。」
「それは……。」
「ねぇ、俺が勝手に秦野ちゃんを好きになっちゃっただけで、彼女にはなんの非もないよね?
それに俺の人生なんだし、俺が誰を好きでいようが誰と付き合おうが、君たちに関係ないよね?」
「…はい。」
「もうこういうのやめてね。
秦野ちゃん、行こう。」
私を囲んでいた先輩たちが離れて、私は城山先輩とその場を離れる。