学校一のイケメンと噂の先輩は、優しい吸血鬼でした
とある日。
「はーたーのーちゃんっ。」
「先輩。どうかしましたか?」
「好きな子に会いに来ただけ〜。
あ、そういえば秦野ちゃん、まだお守り持ってるよね?」
「持ってますよ。」
「なら良し。ちゃんと持っててね。」
「はい。」
「じゃあ俺教室戻るね〜。」
それだけを言いに来たのか、先輩はすぐ戻ってしまった。
その日の帰り道、いつもと同じ道をいつもと同じように歩いていた時、突然目の前が真っ暗になった。
少しして、自分が何かで目隠しをされていることに気づく。
「誰!?なんですか!?」
「危害は加えないから大人しくしてろ。」
知らない大人の男の人の声。
言葉通り乱暴はされないけど、車に乗せられてどこかに連れていかれているようだった。
誰なんだろう。何のために私を?
長い間車を走らせていたけど、目的地についたのか動きは止まり、私もおろされてどこかに座らされる。
え、何この椅子。すごくふかふか。
そしてやっと目隠しがとられた。
部屋は真っ暗だったけど、ずっと目隠しをされていたせいで目は慣れていて、目の前にガタイのいい40代くらいのおじさんが立っているのがわかった。
「誰…。」
「まあ待て。すぐ分かる。
茶でも飲んで待ってればいい。」
目の前のテーブルには紅茶とお菓子。
どういう意味だろうと思いつつ、それを頂いて待っていると、30分くらいだろうか、それくらい経った頃に部屋の扉が勢いよく開いた。