学校一のイケメンと噂の先輩は、優しい吸血鬼でした
「噂の奏の想い人ってのはあなたかしら?
奏の血の匂いがするわ。」
ひとりで家までの道を歩いていると、綺麗な女の人が声をかけてきた。
今日は曇りだというのに、その人は日傘をさしている。
「…誰ですか?」
「奏の婚約者。」
「婚約者…。」
ということは吸血鬼。
前みたいになったらまた先輩に迷惑かけるし、気をつけないと。
「奏が誰かを気に入るなんて聞いたことないわ。
あなたの血はそんなに美味しいの?」
「いや、知らないです…。
というか、血に美味しいとかあるんですか?」
「もちろんあるわよ。あなたも好きな食べ物くらいあるでしょう?血も同じ。人によって血の味は違うし、好き嫌いもある。」
「そうなんですね。」
「というわけで、ちょっと吸血させてもらえない?」
「え、なぜですか?」
「もちろんあなたの味が気になるからよ。」
「それはちょっと……。」
「えー、いいじゃない。」