学校一のイケメンと噂の先輩は、優しい吸血鬼でした



「噂の奏の想い人ってのはあなたかしら?
奏の血の匂いがするわ。」


ひとりで家までの道を歩いていると、綺麗な女の人が声をかけてきた。

今日は曇りだというのに、その人は日傘をさしている。


「…誰ですか?」


「奏の婚約者。」


「婚約者…。」


ということは吸血鬼。

前みたいになったらまた先輩に迷惑かけるし、気をつけないと。


「奏が誰かを気に入るなんて聞いたことないわ。
あなたの血はそんなに美味しいの?」


「いや、知らないです…。
というか、血に美味しいとかあるんですか?」


「もちろんあるわよ。あなたも好きな食べ物くらいあるでしょう?血も同じ。人によって血の味は違うし、好き嫌いもある。」


「そうなんですね。」


「というわけで、ちょっと吸血させてもらえない?」


「え、なぜですか?」


「もちろんあなたの味が気になるからよ。」


「それはちょっと……。」


「えー、いいじゃない。」

< 18 / 34 >

この作品をシェア

pagetop