学校一のイケメンと噂の先輩は、優しい吸血鬼でした
《翌日》
あの後結局様子は見に行かなかったけど、大丈夫だっただろうか。
「秦野ちゃーん。」
教室の入口から私の名前を呼ぶ声。
その声の主を見て、私は慌てて駆け寄る。
「先輩!」
「元気になったよ。」
「…良かった。」
「心配かけたね。」
ごめんね、と言って先輩は私の頭を撫でる。
そんなことされると思ってなかった私は、驚きと同時に、恥ずかしい気持ちもあった。
だって今、結構な人が私たちに注目している…。
「あの、先輩。」
「ん?」
「そんなことしたら、みんなに勘違いされちゃいますよ。
私と先輩がいい感じっていう噂が流れてたみたいだし…。」
「そうなの?
まあ俺はそれでもいいけど。」
「ダメですよ!先輩のこと好きな人たくさんいるだろうし、ほら先輩も好きな人とかいるんじゃないですか?」
「秦野ちゃんかな。」
「この状況でその冗談はほんとにまずいですって。」
「え〜、ほんとなのに。」
「だから、そういう冗談は程々に…、」
「ほんとだよ。本当に俺は秦野芽衣ちゃんが好き。
大して深い関係でもないのに、俺を全力で心配してくれる姿に惚れた。」
「……え?」
先輩の予想外すぎる言葉に、周囲がざわつき始める。