飲んで、のまれて 愛されて
ーーーーーーー 蘭side
今日は土曜日
Flowerの中でも1週間で1番忙しい日
俺は友人の柚成の頼みで昼の現場をかけ持ちしながら金曜、土曜の夜は柚成の弟の蓮が店長を勤める ここ BAR Flowerで バーテンダーをしてる
この店には色々なお客さんが来る
同業のお客さん
からお酒を覚えたばかりの大学生
そして地元の友人
色々なお客さんを見て俺は決めていることがある。
昼の仕事を含めプライベートでは一切お客様に関わらないこと
少し勤めただけだがこの夜の世界は嫉妬や憎悪に溢れている
足下をすくわれたらひとたまりもない
それに俺の戸籍にはバツが付いている
あの頃…25歳の俺はまだ若かった、勢いに任せて結婚し上手くいかず離婚した
養育費は払い続けているが子供に会わせてもらったことはない
自分のせいとは言えど悲しい思いをした
そして誓った
彼女なんかいらん
大切なものを作って失うくらいなら
初めから無い方がマシ
だから俺は女性と多く出会ってしまうこの店でプライベートを完全に分けることを決めた
俺は嘘で塗り固められた人間
店でつくるキャラクターも
客に見せるこの笑顔も
友人の前でとるおちゃらけた態度だって
きっと本物じゃ無い
それに この店で名乗っている 蘭 という名前
これも本名じゃない
自分自身嘘にまみれすぎて
もう何がホントで何が嘘かわからんわ…そして今日も俺は末永 蘭として
嘘っぱちの世界の扉を開けた