飲んで、のまれて 愛されて
店に入るや否やカウンターの女性が俺の名前を叫んでいた



この子はこの辺のどっかの大学生
月に3回ほどふらりと来たかと思えば



帰りには絶対ホテルに誘ってくる


少し厄介なお客様

誰にでもという訳でもなく 俺を狙い撃ちしてくるのがまたまた厄介


だがこの仕事はお客さまに夢を見させる仕事
今日も俺は嘘かホントか分からない笑顔を振りまく


「蘭~、まじでかっこいいよなぁ」


女性客はカウンターにあった俺の手を自らの指で絡めとる

不快…

でも笑顔は絶やさない


「え~、俺かっこいいとか言われたら今日1日頑張れるわ~!ありがとう!!!!」


話に相槌を打ちながらタバコに火をつけるために彼女の手をするりと抜ける


「蘭って年中そのタートルネック着てない??暑くないの?脱いだら???」


年中って…この店はオープンして1年
俺は金土しか出勤しないし月3回来るか来ないかの彼女に何がわかるのだろうか



でも確かに俺は現場の仕事も夜の仕事も夏場でさえも首まであるインナーを着ている



肌を晒すのがあんまり好きじゃない



「俺、嫁入り前であんまり肌出したらお嫁に行かれへんから隠してんねん」



コレはFlowerの蘭としてのキャラクター

案外ウケがいい



ところで今日はカウンターの隅っこに新規のお客様がいる

純が接客してくれているが、どっかで見たことあるような無いような


まあ、顔面偏差値高めやな。絶対年下やけど

俺年下ってわがままそうであんまり好きちゃうんよなあ
< 15 / 70 >

この作品をシェア

pagetop