飲んで、のまれて 愛されて
「え!?教えて欲しい!!」


私は自分なりの解釈を純くんに説明した


嵐くんはきっと過去に何かあった人
自分の居場所を失った人だと思う


「純くんは、Flowerの店名の由来は知ってますか??」



「いや…聞いたことない…」


昔、蓮くんが教えてくれた

スタッフもお客さんも色々な花の蕾だと
水の与え方、肥料の量、日光など色々な要因で蕾は綺麗な花を咲かせる


Flowerはその蕾を咲かせる肥料のような場所でありたい
色々な人間という化学反応を起こして蕾を花にする場所

成長する場所であって欲しいと

みんなに喜ばれる花になって欲しいって思いを込めてFlowerって名前にしたという事を純くんに説明した


「Flowerはスタッフが既に色とりどりの花なんです」


「え?…どういう意味??」



「Flowerのスタッフには皆花の名前があるんです」


店長である蓮 は 蓮の花
蓮くんの兄 柚成 は 柚子
藤上 純 は 藤の花
梅原 元輝 は 梅

奇跡に近いくらいたまたまらしいけど…




「え?あぁ!そういえば…でも…!」



「…そうなんです、嵐くんだけ花の名前が入ってないんです」



私は座っていたソファーから立ち上がり
嵐くんの眠るベッドの端に腰かけた



乱れた嵐くんの布団をそっと肩まで掛け直す


嵐くんは親友の柚成くんの作ってくれた居場所にしがみつくために必死なんだと思う

もう二度と失いたくない居場所に必死に馴染もうとして 蘭を作り出した



「これが私の見解です」


ひと通り話し終えた私は目にかかった嵐くんの髪をそっと整えた



「でも…なんでそんなこと気にしなくても嵐は俺らの友達やのに…!」


純くんの言葉に私はそっと口を開いた
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