飲んで、のまれて 愛されて
銭湯の前に到着すると
ちょうど嵐が前から歩いてきた
「おーっす、おつかれー!」
「お前ほんま俺がサウナって言うたら釣られると思ってるやろ」
嵐の第一声はこれだった
「まあ、現に釣れたしな」
…確かにとボソボソ言いながら嵐は銭湯ののれんをくぐった
脱衣場で2人で服を脱いでいると嵐の首にやはり目がいく
「ほんま、綺麗よな。よく、見やなわからんもん」
俺は嵐のタトゥーをまじまじと見ながら言った
「男に見られても嬉しくない」
そう言いながら嵐は首に乾いたタオルをかけた
一通り体や頭を洗い終えたあと2人でサウナの扉を開けた
扉を開けた瞬間から中の熱気が顔にかかりひのきの香りが辺りを包んだ
サウナの中はそんなに広くないが座るところが3段分ある田舎にある割には本格的なサウナだ
嵐は迷わず1番上の段に腰かけた
俺は嵐より1段低い2段目に腰掛けた
30秒ほどの沈黙を先に破ったのは嵐だった
「俺はまだセカンドバージン貫いてんぞ」
嵐からの唐突な告白に吹き出してしまった
「俺が朱羽ちゃんとどこまでやったか気になってんねんやろ」
嵐にはなんでもお見通しらしい
「でも、朱羽ちゃんお前のタイプちゃうん?」