飲んで、のまれて 愛されて
サウナと水風呂を何往復かしたあと
俺と嵐は脱衣所で服を着ていた


「純、水いる??」


嵐がペットボトルの水を手渡してくる



「俺、瓶のコーヒー牛乳飲むからいらん」




「そんな甘いもん毎回毎回、よく飲むわ」


サウナに来る度にコーヒー牛乳を飲むことを嵐にバカにされるこのルーティーンももういつも通りお決まりの光景だ



「おい嵐!俺先行くからな」


ちんたらバックに荷物を詰めている嵐を置いて先に銭湯を出る



銭湯ののれんを出ると
どこかから咳き込む声が聞こえた


周りを見渡すと綺麗にカラーされたブロンド髪のギャルがむせ込んでいた



「朱羽ちゃん…??」



目を凝らすと昨日店に来た噂のギャル朱羽だった

俺は慌てて朱羽ちゃんの元に駆け寄る


咳が酷すぎて呼吸が追いついてない…
きっと喘息だと思う



急な緊張やストレスで発作が出ることがある
俺の友人がそうだった




とりあえず水分補給はもちろん
1番は落ち着かせることが大切




朱羽ちゃんの背中を擦りながら


嵐から水を奪い取った


俺が朱羽ちゃんの背中をさすっている間






嵐は呆然と立ち尽くしていた
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