カフェラテdeプリンのカサブランカ日記
 そうそう、この年は二本買ってきたんだ。
でもさ、不思議なもので一本しか芽が出なかった。 なぜなんだろう?
 その一本の芽を大事に育てることにした。
 6月には支柱も買ってきたよ。 カサブランカはかなり伸びるからね。
んで、毎朝毎晩 欠かさずに声を掛け続けた。
昔から農家では「声を掛けることは肥を掛けることに通ずる。」と言われてきた。
作物とはいっても命が宿っているんだ。 声を聞かないわけが無い。
 だからね、ぼくはいつも「可愛い」とか」元気だね」とか声を掛けてきた。

 6月も中旬を過ぎると花芽がグングン伸びてくる。
大きい物になると大人の中指くらいは有るかなあ。
だって茎自体が1メートルくらいに伸びるからね。
だからさ、支柱を立てるのも気を遣う。
うまくやらないとバランスを取れなくなるからね。
 花芽も一つや二つじゃない。
大きいのから小さいのまで出揃ってくる。
 専門農家だったら間引いたりするんだろうけど、ぼくは素人だからね、そこまではやらない。
おまけに初めてだし、、、。

 7月になると水やりもさらに増えてくる。
土の乾きが早いから。
 こうなってくると大変なんだよね、やり過ぎてびちょびちょにするか、それとも?って。
 ついでに気を付けるのは大雨。 風が強い日は要注意。
背が高いから倒れやすいんだ。
事実、何度か倒したよ。
「ごめんねえ。 痛かったなあ。」って謝りながら起こすんだ。
「ほれ、起こしたぞ、。」みたいなのは禁物。
 何処までも可愛がってやること。
それが大事だね。

 8月になるといよいよ花芽が膨らんでくる。 いよいよだよ。
ぼくが見たところではなぜか8月12日に咲いたんだ。
お盆の前の日だね。
母さんの供養にちょうどいいタイミングだ。
考えてくれてたんだねえ きっと。

 咲いてしまうといい匂いが辺りに立ち込めてくる。
水やりはいつも通り。
花が落ちるまでは減らすわけにはいかない。
 十日くらいすると花が落ち始める。
その頃には空気も秋めいてくる。
ミンミンゼミがヒグラシに代わって寂しくなってくる。
 そうなると花は完全に終わるんだ。

 その後は茎と葉だけになる。 なんだか寂しい。
 そのまま9月を迎える。 水やりは減らし始めるよ もちろん。
10月になると茎が枯れて取れちゃうんだなあ。
ここまで懸命に水をやって球根を太らせる。
 そしたらいよいよ植え替えの時期だ。
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