「十年経っても、消えなかった」
暫く休んだ後、再び車に乗ると地元に戻っていく。
日はまだ高く、せっかくだからもう少し一緒にいたいな、と思っていてもデートの一つまともにしたことがなく、頭が固くて思いつかないし、田舎街には大したデートスポットなどない。
──と、沿岸沿いから外れ暫く、無言で道を走っているととても美しい景色が広がった。
「凄い、ひまわりだ」
黙っていた宝生が身を乗り出すと、目の前には一面満開のひまわり畑。
地元過ぎて思いつかなかったのだが、うちの街には、だだっ広いひまわり園がある。干拓地の一面に30万本の大輪のひまわりが花開くひまわり園は、全国でも名が上がる。