「十年経っても、消えなかった」




「宝生、見ていこうか」

「うん、行きたい」

 すぐに返事は返ってきて、車を止めると青空の下園内を歩き始める。

 観光客は多いがその分敷地も広く、縦横一キロ以上ある曲がりくねったいくつもの道は、まるで巨大迷路のようだ。

「私、もう何年もここへは来てなかった」

「それなら良かった。ひまわり、綺麗だね」



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