「十年経っても、消えなかった」





 顔の大きさくらい大きく、宝生の背丈に近いくらいの背の高いひまわりが、何千、何万も植えられており、一度お互いを見失うと大変そうだ。

 そんな中、途中でアイスを買って食べ歩こうとしていると、目の前にいた小さな子供が持っていたアイスをボッテリ落として、うるうる泣き始めたではないか。

 可哀想だな、と思って見ていると、もう一度買ってと泣いてきかない。

 しかし、一緒にいた小学生らしき姉はお金を持っていないと言う。家族は近くにいるのだろうか。

 でも、まだ食べていないし自分のアイスをあげようかと思って、一歩兄妹に近付こうとしたのだが──。




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