「十年経っても、消えなかった」
「宝生、優しいな」
「いやいや……あの状況だったら、誰だってあぁすると思う。雅君だって動こうとしてたじゃん」
そのあたたかな優しさに一人嬉しくなりながら、今度は自分のアイスを宝生に差し出した。
「あげる」
「えっ、いいよ。さっきのはあぁ言っただけで」
「ううん、はい、どうぞ」
手を振る宝生にアイスを渡すと、自分はスマホでひまわりの写真をパシャパシャと撮る。元々写真を撮ることは好きだった。