「十年経っても、消えなかった」





 そのうち、人の多い通りに出た時に、宝生は恥ずかし気に手を放そうとしたが、俺が力づくで握りしめていると、そのうち笑われてしまった。

「……雅君、痛い」

「あ、ごめん。でも、離そうとするから」

 これから、一緒に時間を過ごしていけたらと思ってる。

 今まですれ違っていた時間を埋めることはできないけれど、これからずっと、この先ずっと──。




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