「十年経っても、消えなかった」
『貴方に会えて、本当に良かった』
~宝生唄~
「宝生さん、もしかして大原君と別れた?」
週明け会社に行くと、朝一番でおばさん社員に突っ込まれ、その場で立ち止まる。
「昨日、ひまわり園に来てたでしょ? 新しい彼氏と」
「あっ、あれは……」
説明がつかずにオロオロしていると、そこに英介さんがやって来て、おばさんが余計なことを言う。
「残念ね、二人お似合いだと思っていたのに」