ずっと、そばにいるよ2
外泊
〜華が退院した数日後〜
病状が落ち着いている美優は航也の許可が出れば、当直明けの航也と一緒に帰る予定。
航也がいつものように診察をする。
「よし胸の音聞くよ。…ん、喘鳴もないね、熱もないし、いいね。よし、帰ろうか。看護師さんから薬受け取った?」
「うん、持ったよ!早く行こっ!」
「わかった、わかった。あんまりはしゃ…」
「はしゃがないよ!わかってるって!」
「全く、お前は…」
航也はそう言いながらも、はしゃぐ美優が久しぶりに見れて、顔がほころぶ。
いつものようにナースステーションに挨拶をして、航也の車に乗る。
「はぁ〜、無事に病院脱出できた!!」
「ハハハ、脱出ね(笑)さっ、帰るよ!ただし、無茶はしない約束ね、いい?少しでも変だと思ったら我慢せずに言うんだぞ?」
「うん!わかったよ!それより、どこ行くの??」
「そうだね、まずは美優が行きたがってた海に行こうか?」
「やったー!嬉しい!!」
「だから、着くまで寝てな」
久しぶりの外泊でテンションの高い美優だが、無事に3泊4日を終えるためには、無理をさせないことが何より大事。
興奮していた美優だったが、しばらくするとスヤスヤ眠り始める。
航也は信号で止まると、寝ている美優の手首を掴み脈を確認する。
(よし、大丈夫そうだな)
〜1時間後〜
「みゆ?美優?着いたよ」
「ん?着いた…?」
「フフ、着いたよ。外見てごらん」
美優が窓の外を見つめると、太陽に照らされて、キラキラ光る海が目に飛び込んできた。
「わぁ、海だぁ!!やっと見れた〜!!」
子供のように喜ぶ美優を見て、航也も笑みがこぼれる。
「少し外散歩しようか?」
「え?外出ていいの?」
キョトンとした顔で聞いてくる美優。
「ハハハ、いいよ!外も暑いくらいだし、体調も落ち着いてるしな!」
それから2人はゆっくりと砂浜を歩く。
航也はそっと美優の手を繋ぐ。
美優の顔が赤くなるのがわかった。
「美優、なに照れてんの?」
「べ、べつに照れてないもん」
そんな美優が可愛く愛おしい。航也は気付くと、人目もはばからずに美優を抱きしめる。
「ちょっ、急に恥ずかしいよ〜」
「美優、かわいい。美優の笑顔ずっと守っていきたい。辛い治療もよく頑張ってきたな、本当にえらいよ」
「うん、航也…ありがとう。グスン…大好き」
「フフ、俺もだよ。なにも泣くことないだろ?」
2人は思い出の海を前に甘い時間を過ごす。
美優はこれ以上ない幸せを噛みしめる。
近くの階段に座ってしばらく海を眺めていた。
でも体は正直で、徐々に体から力が抜けていって、自然と航也に体重を預けてしまう。
「ん?美優どうした?ちょっと疲れたか?」
「うぅん、大丈夫。疲れてないよ」
目を逸らす美優。
(自覚ありだな(笑))
「さっ、車に戻ろう。今日は初日だから無理はしないよ!」
「え、やだ…もう少しだけ…」
「翔太と華が明日お祝いするから、家においでって言ってくれてるんだよ。今無理して行けなくなったら嫌だろ?」
「うん…わかった」
ショボンとした美優。
「かわりに帰りに美味しいケーキ買って帰ろう?」
「ケーキ?!うん、やった!」
「ハハハ、単純なやつだな!」
しばらく車を走らせるとまたウトウトし始める美優。寝ないように必死に目を開けようとしている。
「もう寝な?ケーキ屋着いたら起こすから」
「だいじょぶ…」
そうは言ったものの数分して眠ってしまった。
(やっぱり、まだまだ疲れやすいな…)
それからケーキを買ってマンションに帰って来た。
美優はケーキ屋からマンションの間もずっと寝ていて、そのままベッドに運ぶ。
幸い熱はないようだ。聴診器をすべり込ませ胸の音を丁寧に聞く。
微かな喘鳴…発作に繋がらないように祈りながら美優を寝かせておく。
(起きたら吸入させないとな…)
航也はコーヒーを入れ、リビングのテーブルにパソコンを開き、仕事を進める。
なかなか休みが取れない医者にとって家にいる時間に仕事を進めておかないと次々に溜まってしまう…
〜2時間後〜
コホ、コホ…
寝室から美優の咳が聞こえる。
(ん?咳出てきたか…)
航也がそっと寝室を覗くと、美優がベッドに座って、吸入器を吸っている所だった。
「あれ、美優起きてたの?おっ、吸入したんだね。えらかったな、1人ですごいじゃん」
航也は美優の頭をクシャっとして隣に座る。
「うん…少し苦しくて咳出てきたから…」
そう言いながら、美優の目がウルウルしている。
それを確認すると、航也の医者スイッチが入り、美優の背中に聴診器を這わせる。
「ゆっくり吸って〜吐いて〜、はい、もう一回、吸って〜吐いて〜…。うん、吸入したから喘鳴落ち着いてるね。でも少し熱あるかな?体温計入れさせてね」
ピピピ…
「37.5か、美優寒い?」
「うぅん、暑い」
「じゃあ、これ以上は上がらないかな。リビング行ける?」
美優を抱きかかえ、リビングのソファに座らせる。
「美優冷えピタ貼る?気休めだけど」
美優が頷くのを確認すると、航也が冷えピタを貼ってくれた。
「う〜ん、きもち〜」
「そっか、よかった。美優そろそろお腹空かない?買ってきたケーキ食べない?」
「うん、食べる」
「わかった、今紅茶入れるからちょっと待ってね!」
それから美優は紅茶、航也はコーヒーを飲みながら、ケーキを食べ、美味しいひと時を過ごした。
「明日さ、翔太と華がご馳走作ってくれるらしくて、向こうの家にお呼ばれてるんだけど、どう?華の退院祝いと美優の一時退院祝いだってさ!」
「うん!2人に会いたい!!」
「わかったよ。翔太に連絡しとくな」
病状が落ち着いている美優は航也の許可が出れば、当直明けの航也と一緒に帰る予定。
航也がいつものように診察をする。
「よし胸の音聞くよ。…ん、喘鳴もないね、熱もないし、いいね。よし、帰ろうか。看護師さんから薬受け取った?」
「うん、持ったよ!早く行こっ!」
「わかった、わかった。あんまりはしゃ…」
「はしゃがないよ!わかってるって!」
「全く、お前は…」
航也はそう言いながらも、はしゃぐ美優が久しぶりに見れて、顔がほころぶ。
いつものようにナースステーションに挨拶をして、航也の車に乗る。
「はぁ〜、無事に病院脱出できた!!」
「ハハハ、脱出ね(笑)さっ、帰るよ!ただし、無茶はしない約束ね、いい?少しでも変だと思ったら我慢せずに言うんだぞ?」
「うん!わかったよ!それより、どこ行くの??」
「そうだね、まずは美優が行きたがってた海に行こうか?」
「やったー!嬉しい!!」
「だから、着くまで寝てな」
久しぶりの外泊でテンションの高い美優だが、無事に3泊4日を終えるためには、無理をさせないことが何より大事。
興奮していた美優だったが、しばらくするとスヤスヤ眠り始める。
航也は信号で止まると、寝ている美優の手首を掴み脈を確認する。
(よし、大丈夫そうだな)
〜1時間後〜
「みゆ?美優?着いたよ」
「ん?着いた…?」
「フフ、着いたよ。外見てごらん」
美優が窓の外を見つめると、太陽に照らされて、キラキラ光る海が目に飛び込んできた。
「わぁ、海だぁ!!やっと見れた〜!!」
子供のように喜ぶ美優を見て、航也も笑みがこぼれる。
「少し外散歩しようか?」
「え?外出ていいの?」
キョトンとした顔で聞いてくる美優。
「ハハハ、いいよ!外も暑いくらいだし、体調も落ち着いてるしな!」
それから2人はゆっくりと砂浜を歩く。
航也はそっと美優の手を繋ぐ。
美優の顔が赤くなるのがわかった。
「美優、なに照れてんの?」
「べ、べつに照れてないもん」
そんな美優が可愛く愛おしい。航也は気付くと、人目もはばからずに美優を抱きしめる。
「ちょっ、急に恥ずかしいよ〜」
「美優、かわいい。美優の笑顔ずっと守っていきたい。辛い治療もよく頑張ってきたな、本当にえらいよ」
「うん、航也…ありがとう。グスン…大好き」
「フフ、俺もだよ。なにも泣くことないだろ?」
2人は思い出の海を前に甘い時間を過ごす。
美優はこれ以上ない幸せを噛みしめる。
近くの階段に座ってしばらく海を眺めていた。
でも体は正直で、徐々に体から力が抜けていって、自然と航也に体重を預けてしまう。
「ん?美優どうした?ちょっと疲れたか?」
「うぅん、大丈夫。疲れてないよ」
目を逸らす美優。
(自覚ありだな(笑))
「さっ、車に戻ろう。今日は初日だから無理はしないよ!」
「え、やだ…もう少しだけ…」
「翔太と華が明日お祝いするから、家においでって言ってくれてるんだよ。今無理して行けなくなったら嫌だろ?」
「うん…わかった」
ショボンとした美優。
「かわりに帰りに美味しいケーキ買って帰ろう?」
「ケーキ?!うん、やった!」
「ハハハ、単純なやつだな!」
しばらく車を走らせるとまたウトウトし始める美優。寝ないように必死に目を開けようとしている。
「もう寝な?ケーキ屋着いたら起こすから」
「だいじょぶ…」
そうは言ったものの数分して眠ってしまった。
(やっぱり、まだまだ疲れやすいな…)
それからケーキを買ってマンションに帰って来た。
美優はケーキ屋からマンションの間もずっと寝ていて、そのままベッドに運ぶ。
幸い熱はないようだ。聴診器をすべり込ませ胸の音を丁寧に聞く。
微かな喘鳴…発作に繋がらないように祈りながら美優を寝かせておく。
(起きたら吸入させないとな…)
航也はコーヒーを入れ、リビングのテーブルにパソコンを開き、仕事を進める。
なかなか休みが取れない医者にとって家にいる時間に仕事を進めておかないと次々に溜まってしまう…
〜2時間後〜
コホ、コホ…
寝室から美優の咳が聞こえる。
(ん?咳出てきたか…)
航也がそっと寝室を覗くと、美優がベッドに座って、吸入器を吸っている所だった。
「あれ、美優起きてたの?おっ、吸入したんだね。えらかったな、1人ですごいじゃん」
航也は美優の頭をクシャっとして隣に座る。
「うん…少し苦しくて咳出てきたから…」
そう言いながら、美優の目がウルウルしている。
それを確認すると、航也の医者スイッチが入り、美優の背中に聴診器を這わせる。
「ゆっくり吸って〜吐いて〜、はい、もう一回、吸って〜吐いて〜…。うん、吸入したから喘鳴落ち着いてるね。でも少し熱あるかな?体温計入れさせてね」
ピピピ…
「37.5か、美優寒い?」
「うぅん、暑い」
「じゃあ、これ以上は上がらないかな。リビング行ける?」
美優を抱きかかえ、リビングのソファに座らせる。
「美優冷えピタ貼る?気休めだけど」
美優が頷くのを確認すると、航也が冷えピタを貼ってくれた。
「う〜ん、きもち〜」
「そっか、よかった。美優そろそろお腹空かない?買ってきたケーキ食べない?」
「うん、食べる」
「わかった、今紅茶入れるからちょっと待ってね!」
それから美優は紅茶、航也はコーヒーを飲みながら、ケーキを食べ、美味しいひと時を過ごした。
「明日さ、翔太と華がご馳走作ってくれるらしくて、向こうの家にお呼ばれてるんだけど、どう?華の退院祝いと美優の一時退院祝いだってさ!」
「うん!2人に会いたい!!」
「わかったよ。翔太に連絡しとくな」