ずっと、そばにいるよ2
美優の異変
〜翔太と航也〜
美優と華の病室を出てから、翔太は航也がいる医局に顔を出す。
「航也?今ちょっといいか?」
「おぅ、翔太か。大丈夫だよ。コーヒーでも飲むか?」
「ありがと」
航也はコーヒーメーカーのスイッチを入れコーヒーを淹れる。
「はい、どうぞ」
「サンキュ。美優のことなんだけど、さっき病室で授業してきたんだけど、顔色が悪くてさ、本人は大丈夫って言うんだけど。正直に言わないとダメだって言ったら泣いちゃってさ。自分でも何で泣いてるのかわからないけど、みんなが忙しそうにしてるから、言えなかったって…。美優の性格的に周りに気を遣って、自分の不安とか症状を口に出せなかったんだろうなって思ってさ。言わなきゃダメって頭ごなしに叱って、美優の気持ち考えたらそうだよな、かわいそうなことしちまったなって思ってさ。華も入院して美優の気持ちわかるって…」
「そうか…俺も気にはしてたんだけどさ。最近食欲も落ちてるし、早く原因突き止めなきゃって思ってたんだけど、あいつが症状言わなくてわからなくてな…確かに本人からの訴えはめっきり減ってた感じするわ…教えてくれてありがとな」
「美優いつも笑顔でいるからつい大丈夫だろうって思いがちだけど、俺らが思ってる以上に精神的に思い詰められてたのかもな…」
「そうだな、長期入院だし…実際は全然大丈夫なんかじゃなかったってことだよな…」
翔太と航也が医局でそんな話をしている時だった。
〜病室にて〜
「ちょっとトイレ行ってくるね」
「うん、気を付けてね」
美優が点滴台を転がしながらトイレに向かった。
15分くらいして看護師が病室に来る。
「華ちゃん、あれ?美優ちゃんは?」
「15分くらい前にトイレに行くって言って出て行ったきりなんです」
華もさすがに心配になり、看護師と一緒に病棟のトイレに見に向かった。
看護師がトイレの扉を開けると、洗面台の前にうずくまる美優の姿があった。
洗面台を見ると真っ赤な血が付いている。
「美優ちゃん!どうしたの?!」
美優の口元には血が付いていて、吐血しているのだとわかった。
「華ちゃん、美優ちゃんの側にいてくれる?誰か呼んでくるから」
看護師は慌てた様子でナースステーションに走っていく。
「美優!美優!しっかりして!お腹痛いの?」
美優は顔をしかめて胃の辺りを手で抑えている。
「はな…オェ、ハァ、ハァ、オェェ」
量は多くないが、えづく度に血を吐いている。
ストレッチャーを押した看護師が数名走って来て、廊下の向こうから、連絡を受けた航也と翔太が勢いよく走ってくるのが見える。
「美優!とりあえずストレッチャーに移すよ。状況教えて!」
「はい!15分前にトイレに行ったっきり戻って来なくて、来てみたら、洗面台の前でうずくまってました。洗面台で吐血したようです」
航也はすかさず洗面台をのぞく。
「だいぶ吐血してんな、すぐ内視鏡室に運ぶよ!」
航也は看護師とストレッチャーを押しながら、ピッチで消化器内科のドクターに応援を頼む。
ストレッチャーで移動している間にも吐血を繰り返している。
「美優もう少しだよ、わかる?気持ち悪いな…」
しばらくすると消化器内科のドクターが到着し、内視鏡検査の準備を進めている間に、看護師がバイタルを測定する。
「鳴海先生!血圧が70台です」
「急いで昇圧剤と輸血お願い!」
美優は辛そうに横を向いて胃の辺りを抑えながら体を縮こませている。
「美優、ここが痛いの?」
航也は美優が手で抑えている場所を軽く押すと、
「うゔぅ〜、いたい…オェ」
痛がり、冷や汗を大量にかいている。
それを見ていた消化器内科の先生が美優に声を掛ける。
「美優ちゃん、これからお口から管を入れて胃の中を検査するからね、ちょっと辛いけど頑張るよ」
緊急を要する状況のため、美優の返事を待たずに検査を始める。
「まずお口の中にシュッて麻酔掛けるよ、あーんしてね」
美優は言う通りにしてくれる。
「良い子だね、次はちょっと太い管が入るからねー、ちょっと我慢だよー」
そう言いながら胃カメラを進めていく。
美優は涙を流して耐えているが、苦しいのかモゾモゾ動く。
航也は美優の体を抑えながら、
映し出される映像を一緒に確認する。
「ん〜食道は異常ないね…次は胃の中は…ん〜、あっこれだね、ここから出血してる。でもこれ…少し前に出来たやつがすこーしずつじわじわ出血してて、今回一気に出血した感じだね。これまでに何か症状訴え無かった?」
「そうですね、赤黒い下痢が出たと言っていた時が5日前にありましたけど、それ以降は特に…」
「きっとその頃からじわじわと出血始まってたんだね。この様子だとずっと胃が痛かったんじゃないかな?だいぶ出血してるから止血の処置このまましちゃうね」
「はい、お願いします」
消化器内科の先生とそんなやり取りを交わし、止血処置をしてもらったおかげで出血は治まった。
今後は消化器内科の先生にも落ち着くまで経過を見てもらうことになった。
美優と華の病室を出てから、翔太は航也がいる医局に顔を出す。
「航也?今ちょっといいか?」
「おぅ、翔太か。大丈夫だよ。コーヒーでも飲むか?」
「ありがと」
航也はコーヒーメーカーのスイッチを入れコーヒーを淹れる。
「はい、どうぞ」
「サンキュ。美優のことなんだけど、さっき病室で授業してきたんだけど、顔色が悪くてさ、本人は大丈夫って言うんだけど。正直に言わないとダメだって言ったら泣いちゃってさ。自分でも何で泣いてるのかわからないけど、みんなが忙しそうにしてるから、言えなかったって…。美優の性格的に周りに気を遣って、自分の不安とか症状を口に出せなかったんだろうなって思ってさ。言わなきゃダメって頭ごなしに叱って、美優の気持ち考えたらそうだよな、かわいそうなことしちまったなって思ってさ。華も入院して美優の気持ちわかるって…」
「そうか…俺も気にはしてたんだけどさ。最近食欲も落ちてるし、早く原因突き止めなきゃって思ってたんだけど、あいつが症状言わなくてわからなくてな…確かに本人からの訴えはめっきり減ってた感じするわ…教えてくれてありがとな」
「美優いつも笑顔でいるからつい大丈夫だろうって思いがちだけど、俺らが思ってる以上に精神的に思い詰められてたのかもな…」
「そうだな、長期入院だし…実際は全然大丈夫なんかじゃなかったってことだよな…」
翔太と航也が医局でそんな話をしている時だった。
〜病室にて〜
「ちょっとトイレ行ってくるね」
「うん、気を付けてね」
美優が点滴台を転がしながらトイレに向かった。
15分くらいして看護師が病室に来る。
「華ちゃん、あれ?美優ちゃんは?」
「15分くらい前にトイレに行くって言って出て行ったきりなんです」
華もさすがに心配になり、看護師と一緒に病棟のトイレに見に向かった。
看護師がトイレの扉を開けると、洗面台の前にうずくまる美優の姿があった。
洗面台を見ると真っ赤な血が付いている。
「美優ちゃん!どうしたの?!」
美優の口元には血が付いていて、吐血しているのだとわかった。
「華ちゃん、美優ちゃんの側にいてくれる?誰か呼んでくるから」
看護師は慌てた様子でナースステーションに走っていく。
「美優!美優!しっかりして!お腹痛いの?」
美優は顔をしかめて胃の辺りを手で抑えている。
「はな…オェ、ハァ、ハァ、オェェ」
量は多くないが、えづく度に血を吐いている。
ストレッチャーを押した看護師が数名走って来て、廊下の向こうから、連絡を受けた航也と翔太が勢いよく走ってくるのが見える。
「美優!とりあえずストレッチャーに移すよ。状況教えて!」
「はい!15分前にトイレに行ったっきり戻って来なくて、来てみたら、洗面台の前でうずくまってました。洗面台で吐血したようです」
航也はすかさず洗面台をのぞく。
「だいぶ吐血してんな、すぐ内視鏡室に運ぶよ!」
航也は看護師とストレッチャーを押しながら、ピッチで消化器内科のドクターに応援を頼む。
ストレッチャーで移動している間にも吐血を繰り返している。
「美優もう少しだよ、わかる?気持ち悪いな…」
しばらくすると消化器内科のドクターが到着し、内視鏡検査の準備を進めている間に、看護師がバイタルを測定する。
「鳴海先生!血圧が70台です」
「急いで昇圧剤と輸血お願い!」
美優は辛そうに横を向いて胃の辺りを抑えながら体を縮こませている。
「美優、ここが痛いの?」
航也は美優が手で抑えている場所を軽く押すと、
「うゔぅ〜、いたい…オェ」
痛がり、冷や汗を大量にかいている。
それを見ていた消化器内科の先生が美優に声を掛ける。
「美優ちゃん、これからお口から管を入れて胃の中を検査するからね、ちょっと辛いけど頑張るよ」
緊急を要する状況のため、美優の返事を待たずに検査を始める。
「まずお口の中にシュッて麻酔掛けるよ、あーんしてね」
美優は言う通りにしてくれる。
「良い子だね、次はちょっと太い管が入るからねー、ちょっと我慢だよー」
そう言いながら胃カメラを進めていく。
美優は涙を流して耐えているが、苦しいのかモゾモゾ動く。
航也は美優の体を抑えながら、
映し出される映像を一緒に確認する。
「ん〜食道は異常ないね…次は胃の中は…ん〜、あっこれだね、ここから出血してる。でもこれ…少し前に出来たやつがすこーしずつじわじわ出血してて、今回一気に出血した感じだね。これまでに何か症状訴え無かった?」
「そうですね、赤黒い下痢が出たと言っていた時が5日前にありましたけど、それ以降は特に…」
「きっとその頃からじわじわと出血始まってたんだね。この様子だとずっと胃が痛かったんじゃないかな?だいぶ出血してるから止血の処置このまましちゃうね」
「はい、お願いします」
消化器内科の先生とそんなやり取りを交わし、止血処置をしてもらったおかげで出血は治まった。
今後は消化器内科の先生にも落ち着くまで経過を見てもらうことになった。