恐怖のギロチン回避! 皇太子との婚約は妹に譲ります〜
18話
ミーン草を集め終わり、カサンドラ達はロロの森から報告をするため荷馬車で、ララサの街の冒険者ギルドに戻っている。
その道中――カサンドラは二人にもらったシロツメクサの花冠が嬉しくて、荷台で花冠を被ったまま陽気に鼻歌を歌っていた。
「ドラお嬢様、ご機嫌ですね」
「クク、その花冠を気に入ってくれたんだ」
「えぇ、とても気に入りましたわ。別荘に帰ったら、ドライフラワーにするつもりです」
二人の気持ちがこもった、素敵なプレゼント。
今まで殿下、両親からの贈り物はカサンドラの好みとは、かけ離れた物ばかりだった。
いまならカサンドラにもわかる。彼らは妹が『要らない』と、受け取らなかった品ばかり、カサンドラにくれていたのだ。
(当時は貰って喜んでいたけど。いま思えば、いらない物を、私は押し付けられていたのね)
陽気に鼻歌を歌うカサンドラに。
御者席の二人も笑う。
「ドラお嬢様に喜んでもらえて、嬉しいです」
「あぁ、嬉しいな」
「フフッ、私も二人にお礼をしなくてわね」
二人への贈り物は決まっている。
森で摘んできた野花を押し花にして、お揃いの栞を作るつもり。二人とも読書好きだから使ってくれるだろう。
ララサ街に着き、荷馬車を預けて採取クエストを受けた冒険者ギルドへ報告に向かった。冒険者ギルドの中は今朝来た時と変わらず、冒険者で溢れかえっていた。
「ドラ、シュシュ受け付けでクエストを報告して、採取してきたミーン草を受付に渡して、報酬を貰って終わり」
「わかりましたわ、いきましょう、シュシュ」
「はい、お嬢様」
カサンドラとシュシュはミーン草が入った、カゴを持ち受付に向かった。
二人が受付に行ったのを見て、アオは一組のパーティーに近寄る。
「お前らはなぜ、オレ達の跡をつける?」
アオが話しかけたのは獣人だけのパーティー。
「ハッハ! そんなの当たり前だろう? 俺達のパーティーの役立たずだったお前が、あんなに可愛い女の子と冒険に行くからさ、気になったんだよ」
「何もできないくせに、ずるいよな」
「ずるい」
「ずるい」
「オレは別にずるくない。あの二人はケガをしたオレを助けてくれたんだ……恩を返すのはあたりまえだ。また卑怯な手を使うのか? あの二人に手をだしたら容赦しない」
そのアオの言葉に、一番体の大きな獣人はニヤッと笑う。
「ハァ? おれっちに負けたくせによく言うぜ」
「そうだな、あの時は負けたが……いまは負けない」
「なんだ? やるのか?」
「いいぜ、前の仕返しをしてやる。表に出ろ!」
と、行こうとしたアオの手は、柔らかな手につかまった。
「もうアオ、探しましたわ。こんな所で何をしているの? 自分の報告は終わったのかしら?」
「いや、まだだけど」
「だったら、早く、報告して帰りましょう」
オレとシュシュがプレゼントした、シロツメクサの花冠を着けたままの、ドラがオレの手を引いていく。
一瞬、アイツがドラに何かするかと警戒したが。
「またな、アオ」
ニヤニヤ笑い手を振る、昔のパーティーのボス。
ドラに会う数ヶ月前、パーティーのボスを決める真剣勝負の日。アイツは睡眠薬を酒に混ぜてオレに飲ませ、勝負に勝った卑怯な男。
奴が使った手はここではよくあることだが……昔からの友にされるとは思わなかった。睡眠薬で朦朧(もうろう)とするオレを散々痛め付け、勝ったヤツは昔からオレを友だとは思っていないと言い放った。
それから……ヤツはオレをパーティーの下っ端として使い、ケガをして使えなくなったら『パーティーから出ていけ』と追いだしたのだ。
その道中――カサンドラは二人にもらったシロツメクサの花冠が嬉しくて、荷台で花冠を被ったまま陽気に鼻歌を歌っていた。
「ドラお嬢様、ご機嫌ですね」
「クク、その花冠を気に入ってくれたんだ」
「えぇ、とても気に入りましたわ。別荘に帰ったら、ドライフラワーにするつもりです」
二人の気持ちがこもった、素敵なプレゼント。
今まで殿下、両親からの贈り物はカサンドラの好みとは、かけ離れた物ばかりだった。
いまならカサンドラにもわかる。彼らは妹が『要らない』と、受け取らなかった品ばかり、カサンドラにくれていたのだ。
(当時は貰って喜んでいたけど。いま思えば、いらない物を、私は押し付けられていたのね)
陽気に鼻歌を歌うカサンドラに。
御者席の二人も笑う。
「ドラお嬢様に喜んでもらえて、嬉しいです」
「あぁ、嬉しいな」
「フフッ、私も二人にお礼をしなくてわね」
二人への贈り物は決まっている。
森で摘んできた野花を押し花にして、お揃いの栞を作るつもり。二人とも読書好きだから使ってくれるだろう。
ララサ街に着き、荷馬車を預けて採取クエストを受けた冒険者ギルドへ報告に向かった。冒険者ギルドの中は今朝来た時と変わらず、冒険者で溢れかえっていた。
「ドラ、シュシュ受け付けでクエストを報告して、採取してきたミーン草を受付に渡して、報酬を貰って終わり」
「わかりましたわ、いきましょう、シュシュ」
「はい、お嬢様」
カサンドラとシュシュはミーン草が入った、カゴを持ち受付に向かった。
二人が受付に行ったのを見て、アオは一組のパーティーに近寄る。
「お前らはなぜ、オレ達の跡をつける?」
アオが話しかけたのは獣人だけのパーティー。
「ハッハ! そんなの当たり前だろう? 俺達のパーティーの役立たずだったお前が、あんなに可愛い女の子と冒険に行くからさ、気になったんだよ」
「何もできないくせに、ずるいよな」
「ずるい」
「ずるい」
「オレは別にずるくない。あの二人はケガをしたオレを助けてくれたんだ……恩を返すのはあたりまえだ。また卑怯な手を使うのか? あの二人に手をだしたら容赦しない」
そのアオの言葉に、一番体の大きな獣人はニヤッと笑う。
「ハァ? おれっちに負けたくせによく言うぜ」
「そうだな、あの時は負けたが……いまは負けない」
「なんだ? やるのか?」
「いいぜ、前の仕返しをしてやる。表に出ろ!」
と、行こうとしたアオの手は、柔らかな手につかまった。
「もうアオ、探しましたわ。こんな所で何をしているの? 自分の報告は終わったのかしら?」
「いや、まだだけど」
「だったら、早く、報告して帰りましょう」
オレとシュシュがプレゼントした、シロツメクサの花冠を着けたままの、ドラがオレの手を引いていく。
一瞬、アイツがドラに何かするかと警戒したが。
「またな、アオ」
ニヤニヤ笑い手を振る、昔のパーティーのボス。
ドラに会う数ヶ月前、パーティーのボスを決める真剣勝負の日。アイツは睡眠薬を酒に混ぜてオレに飲ませ、勝負に勝った卑怯な男。
奴が使った手はここではよくあることだが……昔からの友にされるとは思わなかった。睡眠薬で朦朧(もうろう)とするオレを散々痛め付け、勝ったヤツは昔からオレを友だとは思っていないと言い放った。
それから……ヤツはオレをパーティーの下っ端として使い、ケガをして使えなくなったら『パーティーから出ていけ』と追いだしたのだ。