恐怖のギロチン回避！ 皇太子との婚約は妹に譲ります〜

40話

「ちょっと待て、オレに家はあるが……かなりボロいぞ。それに今はカサンドラのところに厄介になっているから、数ヶ月以上、家に帰っていない」

　ボロくて、掃除していないと言っても、カサンドラ達は聞かず。

「掃除なら平気よ、シュシュと私のクリーン魔法があるわ」
「はい、クリーン魔法は得意です」

「風呂は？　別荘のよりボロいぞ。使えるかも分からない」
「タオルで体を拭くから平気よ」

「寝るところは……ベッドがオレのしかない」
「一緒でいいじゃない」

「ドラお嬢様の意見に賛成です！」

　と、2人はアオの家に泊まる気だ。

「……クウッ」

　いつまでもロロの森で言い争っている場合ではない、夜になると夜行性の危険な魔物が動きだす。

　暗くなる前に一旦ララサの街に移動してから、話すことにした。そして、冒険者ギルドに報告するために向かったが……受付で受けたクエストがスライム1人20匹で、合計100匹。カサンドラとシュシュは2人で協力して、スライムを20匹しか倒していなかった。

「あまりにも大変だったから、忘れていました……それに力不足でしたわ、ごめんなさい」

「カサンドラ様、大丈夫ですよ。クエストの期限は三日あります。それまでに残りのスライムを倒して、報告すればいいんです」

「そうなのですか？　でしたら明日、アオ君とシュシュで終わらせてきます」

「はい、頑張ります」

「しゃーない、残りのスライムは明日倒して、報告は明日にしよう」

　今日、1日冒険に付き合ってくれたスズとチロちゃん達にお礼を言って、冒険者ギルド前で手を振って別れた。
　明日はパン屋の仕事があるから、スズとチロちゃんはクエストに来られない。2人の魔石は預かったので、冒険者ギルドで報告が終わったら、報酬を渡しにパン屋へ寄ることにした。

「さぁ、街で何か食べ物を買って、アオ君の家に向かいましょう」

「はい、ドラお嬢様」
「まだ、クエストもあるし……仕方ねぇ、ボロくてなにもないからな」

「気にしないわ。お出かけも、お泊りもしたことがないから楽しみ」

　カサンドラに笑顔でそう言われたら、アオはなにも言えなくなる。

「ドラ、シュシュ行くぞ」

「「はーい」」

　買い物を済ませ、荷馬車でララサ街近くにある、アオの家まで移動する。
　アオの家はシャノール村という小さな村の奥にある、平屋建て、クリーム色の外壁と屋根、鉄格子の窓と木製の玄関の家だった。

　ランタンにあかりを灯して、荷物を下ろして荷馬車から降り。アオの家を見た、カサンドラとシュシュはどこか嬉しそうだ。

「ドラお嬢様……アオ君の家って『過ぎし日々を語る魔女』に出てくる、魔女の家に似ています！」

「シュシュもそう思った？　私も魔女の家に似ていると思ったわ」

　どこを見てもボロい家。
　そんな家を可愛いと喜ぶ、カサンドラとシュシュに……アオは驚いた。