恐怖のギロチン回避! 皇太子との婚約は妹に譲ります〜

67話

 昨夜の舞踏会は大事(おおごと)になり。
 
 翌日――号外が発行された。アサルト皇太子殿下とシェリィの婚約披露宴は……呪われていると。それは彼らが入場と、した後で、2人の体型がふくよかに変化したからだ。

 それを目の当たりにした、貴族達の悲鳴が上がり。大勢の令嬢は気を失った……今、会場は封鎖されていて、国の魔法省の魔法使い達が調べている。

(そうよね。アサルト皇太子殿下とシャリィが、あんなにふくよかになれば……呪われたと言われるのも納得だわ)

 だけど誰もカラスの事と、カサンドラ達が舞踏会にいた事を覚えていない。もし、その場にカサンドラが居たとなれば。まず先に婚約破棄された、カサンドラが2人を呪ったと言われたはず。


 呪いはしませんが。
 スカッと、したのは事実。


 セリィーヌお祖母様が魔法で皆さんの記憶を消して、シャリィから、魅了魔法が掛かる魔導具のブレスレットを回収した。

 カサンドラがアサルト皇太子殿下の婚約者となってから。その魅了魔法にかかっていた――国王陛下、王妃など、あらゆる人はシャリィに対して、風当たりが強くなったとも言われている。

 国王陛下と王妃がアサルト皇太子殿下の妃に望んだのは、王妃教育を完璧にこなした、優秀な姉のカサンドラだ。それがいつの間にかアサルト皇太子殿下とシャリィは恋仲になり、王妃にと願っていたカサンドラと婚約破棄してしまった。

 陛下と王妃の魅了魔法が解けた今となっては、なぜ、あの時。婚約破棄を許してしまったのか分からない。コレも呪いのせいなのでは、と言い出す始末。

 しかし、大勢の貴族を王都に呼び、2人は婚約披露をしたようなもの。しばらくは王家の面子を保つため、婚約者を変えることはできない。
 なにより、ふくよかになったアサルト皇太子殿下はショックで、人前に出たくないと部屋に引っ込んでしまった。


「怒りに任せて、少しやり過ぎてしまったかな?」


 翌日、カサンドラ達が泊まる宿屋に来て、お祖母様はあの後の出来事を話した。普通の伯爵家の長子となった、カラスはいつの間にかいなくなっていたと言った。

「まあ、奴は魔法が2度と使えない。もう何もしてこないだろう」

 と言い。


 カサンドラ、アオ、シュシュに、カラスから奪った魔力を封じ込めた、魔導具の指輪を渡した。


「アイツの魔力は嫌だろうが。アイツは人並み以上の魔力を持っていた……だから、己の思い通りになると勘違いしたのだろう。カサンドラ達がその指輪を着ければ、たらない魔力が補充されて、自分のものとして使用できる」

 カサンドラは水と癒しの魔石をはめた指輪。
 アオは火の魔石をはめた指輪。
 シュシュは風の魔石をはめた指輪。

 カサンドラ達が貰ったのは、各々の属性に合った指輪だった。
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