愚かな妹
この同僚、もといサキコは入社したときから今まで一緒だ。彼女のあっけからんとした性格が好きで時々飲みに行く。最初の希望からずっと海外勤務を望んでいた。はやく自分の家から離れたくて異動届を僻地にしたりしていた。なかなか通らないなかでやっと欠員がでたのだ。一か月後、日本から旅立てる。

欲しがりの妹は私の大切なものを欲しがる。

一度大事にしていた初恋の人からもらったキーホルダーを渡すまで泣きやまない状態になったとき、本当に絶望したものだ。そのあと私は学び、どうでもいいものを大事にするように見せ、本当に大切なものは肌身離さず持つことにした。無理なものは自分専用の小さな金庫を勉強机の裏の隙間にひっそり置いていた。

両親も一人暮らしなど豪語同断、という状態だったが海外研修はすぐに帰ってくるからと伝えようと思う。最初は研修っていう名目で三か月というが実際三年は確定なのだ。

「そういえばこないだのマッチングアプリの彼どうだったの?」
< 5 / 8 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop