【短編】Love Love Love……
 


 クリスマス・イブの朝。

 空からの贈り物に、嬉しそうな声が上がった。


「あっ、しすたー!
 しろい、ふわふわがふってきたよ?
 これが、ゆき?
 わぁっ……はじめて、みたよ!
 ……きれいだねぇ」

 確か。

 精神年齢は、10才と鑑定されたはずなのに。

 本当のところは、もっと幼いのかもしれない。


 生まれてはじめて見る雪に。

 空からとめどなく、舞い落ちる白い雪に。

 アフダルは、その大きな、はしばみ色の瞳をこぼれそうなほど開いた。

 10才の男の子にしては、だいぶ舌足らずな言葉をいっぱいに使ってキレイだと歓声をあげる。

「ねぇ、しすたー。
 ゆきが、ふったから。
 きっと、ぼくたちのところにも。
 さんたさんが、きてくれるよね?」

 小首を傾げて聞くアフダルに。

 来年30才になるシスター・マリーは、緑色の瞳を細めて、ふふふと、微笑んだ。

「そうね。
 私も、この国に来て、はじめて見たわ……とても、綺麗ねぇ。
 サンタさんは、良い子のところに、来てくれるんですって。
 アフダルは、良い子にしてた?」

「うんっ!」

 シスター・マリーに、アフダルは、誇らしそうに胸を張った。





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