【短編】Love Love Love……
 理不尽な暴力にさらされた、危機を外に伝えようにも。

 携帯電話などと言う便利なシロモノは、もちろん無く。

 設置電話も別の棟にしかなかった。

 それに、そもそも。

 街には、治安維持のための警察は無いも同然だったし。

 普段から治安の乱れた、こんな街外れに。

 警察を呼んでも、来るとも思えなかった。

 運動場を兼ねた、庭だけは広い、聖クレアの家の隣近所も。

 自分達の所に火の粉が飛ばないように。

 鎧戸をしっかり閉めて、縮こまっているしかないようだった。




 たたたたたたん!



 やけに、乾いた銃声が響き。

 また。

 怒鳴り声が聞こえた。

「せっかく俺達が遊びに来てやったのに、あいさつもなしかよ!
 誰か出て来い!!
 これ以上無視すると、このボロ屋敷に、火を付けるぞ!!」

「………!」

 銃声と。

 怒号と。

 投石と。

 そして実際に、ただよって来た。

 つん、と鼻をつくガソリンの臭いに。

 神父は無言で立ち上がった。

 

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