【短編】Love Love Love……
Ⅳ
「……それで?
お前たちは、ウチの教会に、何の用だ?」
雪は、いつの間にか止んでいた。
低い雲が垂れ込む暗い空と。
身を切るような冷たい風を供にして。
ウルジュワーンが外に出たとたん。
聖クレアの家を取り囲んだ、30名ほどの襲撃者達は、皆一瞬。
ぎょっとして、身を引いた。
ウルジュワーンの風貌に、気を呑まれたのだ。
そんなことは、構わず。
片目、片腕の神父は、淡々と言葉を紡ぐ。
「教会の扉は、いつでも、誰にでも開いている。
腹が減り、飯が欲しいのならば、裏にまわって食え。
遊びに来たなら、もう帰れ。
迷惑だ」
ウルジュワーンは、1人。
ただ立っているだけなのに。
ここにいるほとんどすべての人間を圧倒していた。
銃を構えるのも忘れ。
このまま。
回れ右して帰りそうな仲間達に舌打ちして。
リーダーらしき男が、割って入った。
襲撃者の中で、一番若く。
高価な服を着て。
本物の宝石で作られたピアスや鼻輪をごてごてとつけた。
襲撃者の中でも、一番イカレているように見えるやつが、ウルジュワーンにせせら笑った。
「誰がこんなところで、臭いメシなんざ食うかよ!
俺達はこれでも、人さがしに来たんだぜぇ?」
リーダーは、すぃ、と目を細めた。