【短編】Love Love Love……
Ⅶ
雪が、降る。
一度降り止んでいた、南の国に降る雪が。
ふわふわと舞い降りる。
ウルジュワーンは。
その、冷たい感触と。
鋭く。
耳をつんざく銃声で、意識を取り戻した。
「くそ……久々に、効いたぜ……」
ぐらぐらするアタマを振って起き上がると、辺りの景色に。
血の海の広がるとんでもない景色に、息を呑んだ。
そして。
目の前の、死体の山の上から。
全身血だらけのアフダルが、ゆっくりと倒れ込んで来るのに気がついて、駆け出した。
「アフダル!?」
地面に、頭から落ちる寸前、間に合って。
しっかりと腕の中に抱きしめたウルジュワーンは、叫ぶ。
「アフダル!!」
アフダルは、ひどい状態だった。
彼の身体についた血は。
返り血ばかりではなかったのだ。
頬に、ナイフの傷跡をつけ、足と腹に銃弾を何発か受けていた。
それだけでも、致命傷に近かったのに。
胸に、至近距離で撃たれた小銃の弾の跡があった。
「くそ……!」
これでは、もう。
…………助からない。