【短編】Love Love Love……
「ふぁざーおじさんっ!
あさだよーー!」
「………てめぇに【おじさん】呼ばわりされる覚えは、ねぇ」
この【クレアの家】の家長で。
街で唯一の神父であるウルジュワーンは、頭から上掛けをかぶったまま、不機嫌そうな声を出した。
だけども、アフダルは、今までの彼との付き合いで。
『低血圧』なんて言葉は知らなくても。
朝のウルジュワーンはいつだって、こんな感じなことを知っている。
アフダルは、神父の不機嫌をまったく気にせず、にこにこと笑った。
「しすたーがね。
あさごはんだよ、って」
アフダルの声に。
絶対布団から出てくるものかと心に誓っていたらしい。
ウルジュワーンは、ようやくもそもそと動き出した。
「おお。
マリーのパンケーキは、最高だからなぁ。
しかたねぇ、起きて食べてやるか」
「えへへ。
きょうは、おーとみーる、だってさ」
アフダルに聞いて、ウルジュワーンは、ぱたっと動くのをやめた。
「……寝る」
「ねちゃ、だめだよ、ふぁーざー!
きょうは、おしごとあるんでしょ?」
スキあらば、二度寝をしようとたくらんでいるらしい。
ウルジュワーンは、寝床の中でつぶやいた。