【短編】Love Love Love……
「よし。
 今朝のミサは、アフダルに任せてやろう。
 お前は、一度、やってみたいと言ってたろう?」

「えっ、いいの?」

 ウルジュワーンの言葉に、アフダルは、目を輝かせた。

「おお。
 基本は、段に上って、みんなの前で聖書の文章を何遍か、読めばいいんだ。
 お前は、いつもオレのやり方を見てるから、判るよな?
 本当はクリスマスらしい章の方がいいけど、今年は、まぁいいや。
 お前の好きな章を読め」

「やったぁ~~!」

 アフダルが喜んで、神父の部屋を飛び出しかけたとき。

 音もなく。

 まるで、暗殺者が使う、猫の足どりのように静かに。

 灰色の塊が部屋に入り込んだかと思うと。

 ウルジュワーンのベッドに近づいて、低い声を出した。

「……神父さま」

「……げっ、マリー!」

 灰色の修道服をなびかせたシスター・マリーのエメラルド色の瞳は。

 明らかに、怒りで燃えている。

「マリー、じゃございません。
 神父さま。
 あなたは、一年で一番大事なミサを何だと思っているんです?」

 抑えた口調が、怒鳴り声より、数段コワい。

 


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