【短】またいつか、同じ夜空を見られたら



来週、この町で開催される夏祭り。

それなりに規模が大きくて、ラストには大きな花火も上がる。夏の一大イベントだ。

浅見くんからの呼び出しに「告白かも!?」なんて勘違いしてたとき、恋人同士として二人で行く妄想を一瞬だけしてしまった、あの夏祭りである。



「わたしと、浅見くんで?」


「うん」


「二人っきりで?」


「……嫌?」



不安そうに聞かれて、わたしはすぐに首を振る。



「嫌じゃない。行きたい!」



ドキドキと胸が高鳴るのを感じながら、食い気味に答えた。


前世ではできなかった、対等なデート。

わたしたちはもう、お嬢様とその家の書生なんて関係ではないのだ。



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