【短】またいつか、同じ夜空を見られたら
▽▲▽



「お待たせ浅見くん!」



待ち合わせ場所へ時間通りに行けば、浅見くんは既に到着していた。わたしは下駄をカポカポ鳴らしながら駆け寄る。

今日のわたしは、白地に青い朝顔の柄が付いた浴衣を着て、髪は涼し気に結い上げている。荷物は浴衣に合わせた可愛らしい巾着袋。気合の入ったお祭り仕様だ。



「僕も今来たところだから。その……浴衣、か……かわいいね」


「っ! あ、ありがと」



そんなにストレートに褒めてもらえるとは思っていなかったので、びっくりして声が上ずってしまう。


顔が熱くなっているのは、気温のせいだけではもちろんない。

ちょっと褒めてもらった程度で真っ赤になるのが恥ずかしくて、わたしはちょっよ誤魔化すようなことを言う。



「わたしの前世を知ってる浅見くんにとってはさ、和服姿の方がしっくりくるんじゃない? なんてね」


「あ、うん……。そうかも」



浅見くんは何だか微妙な表情をしながらうなずく。

何だろう。どこか気まずそうというか。



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