【短】またいつか、同じ夜空を見られたら



……そのうちに、わたしの中である感情が芽生え始めた。


浅見くんと、手を繋いでみたい。


前世では、言葉にこそしなかったけれど、両想いであることは確かだった。

だけど今、わたしと浅見くんは別に付き合ってるわけじゃない。それどころか、まともにしゃべったのはつい先週という浅い関係。


二人でお祭りに行こうと誘ってくれたのだから、他に恋人がいるというわけではないのだろうけど……。

いきなり「手を繋ぎたい」なんて言ったら、きっと引かれてしまう。



「っ……」



だけどこんな人混みなんだ。「迷子になったら困るから」って言ったら、繋いでくれたりしないかな。

よし、イチかバチかだ。



「ねえ浅見くん。はぐれないように、少しの間だけ、手を繋がない?」



言いながら、わたしは彼の方に手を伸ばす。



だけど……


彼の手は、わたしが触れる直前で引っ込められてしまった。




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