【短】またいつか、同じ夜空を見られたら
だけど、雪子には親が決めた婚約者がいた。彼とは身分も違う。
許されない想いだということは、雪子も周作もわかっていた。
だから、はっきりと言葉にはできなかった。
それでも、隣にいられる間は確かに幸せだった。
……だけど残酷にも、その幸せは長く続かなかった。
雪子は、周作を荷物持ちとして連れて買い物に出ていたとき、金目当ての暴漢の集団に襲われて命を落としたのだ。
身を挺して暴漢達に抵抗し、雪子のことを守ろうとした周作と共に──。
「……っていうのが、わたしの中の雪子の記憶」
長話をするのに、学校の中庭はさすがに暑すぎた。
わたしは浅見くんと近所のファーストフード店へと移動し、そこで覚えている前世の記憶を語って聞かせたのだ。
「本当に雪子さんだったときの記憶があるんだ……」
氷の溶け始めたジュースを飲みながら、浅見くんはしみじみと呟く。