【短】またいつか、同じ夜空を見られたら



「前世の記憶があるなんて突拍子もない話、どうやって説明したら信じてもらえるのかずっと悩んでたんだけど……」


「わたしが前世のことを思い出したのは、もう何年も前のことだから」



そりゃあ最初は驚いた。ごく平凡で平和な人生を歩んできたのに、突然悲劇のヒロインみたいな記憶が蘇ったのだから。

だけど、それを思い出したからといって、北村唯奈という今のわたしの人生に何か支障があるわけでもない。

早乙女雪子の記憶のことは、昔見た映画の記憶ぐらいのものだと考えて、あまり深刻に向き合わないと決めていた。──今日までは。



「もしかして、わたしが雪子の記憶を思い出したのは、今日この日のためだったのかな」



平和な時代に生まれ変わった雪子と周作が再会するために。

そうだとしたら何てロマンチックななことだろう。



「ねえ、浅見くんはどうしてわたしが雪子の生まれ変わりだってわかったの?」



< 5 / 31 >

この作品をシェア

pagetop