【短】またいつか、同じ夜空を見られたら
前世の記憶があるだなんて話、浅見くんも言っていた通りずいぶん突拍子もない。もちろんわたしも誰にも話していなかった。
周作の生まれ変わりが存在したという事実が衝撃的すぎて考えが及んでいなかったけど、いったいどうしてわかったのか不思議だ。
「ああ、それは……」
浅見くんは、わたしの問いかけに困ったように眉を寄せて、左上の辺りで視線を彷徨わせて考え込む。
そして、長く考えていた割にシンプルな答えを出した。
「感覚かな」
「感覚?」
「うん。えっとこう……北村さんを見た瞬間にびびっときたんだよね」
「びびっと……?」
「雷に打たれた衝撃、的な」
なるほど全くわからない。
だけど、こうして理詰めではなく感覚を大切にするところが、雪子の記憶にある周作の人物像と一致する。
それが何だか嬉しくて、わたしは思わず笑ってしまう。
「ふふ、だったら何だか悔しいな。わたしは浅見くんを見ただけじゃあびびっときてくれなかったから」