妹に婚約者を奪われた私は、呪われた忌子王子様の元へ
別棟での生活
別棟は本館の豪奢な飾り付けよりも、落ち着きのある内装が特徴だ。こちらに居住を移してから、ティアリーゼは穏やかな時間を過ごせる日々が増えていた。
公爵家の娘として、今までと同様に教育を受けさせて貰えていることも変わらない。
家庭教師は公爵とゆかりのある、子爵家の夫人が選ばれた。
外面の良いミランダは、貴族間で波風を立てるのは危険だと理解している。
何より義娘であるティアリーゼを邪険に扱っている事実が知られ、社交界で広まっては困る。
今まで気に入らない使用人を女主人の権限で辞めさせてきたが、ティアリーゼの家庭教師の人選には口を挟まなかった。
それは婚約者についても同様である。
この国ランベールの筆頭貴族、クルステア公爵家の令嬢ティアリーゼは、隣国王家の血も流れている。ティアリーゼは現在、ランベール国で最も尊い姫君といえる。
高度な教育を受けた、高貴な血筋の淑女ティアリーゼが、身分の高い相手との婚約が決まるのは必然だった。
ティアリーゼの婚約者はランベール国の王子。
名をリドリスと言い、ティアリーゼと同い年の美しい少年。
リドリスとの婚約が決まると、ミランダは更にティアリーゼを疎むようになっていた。
ただし表面的には出さなくなり、分かりやすく憎悪の視線を向けられる事はなくっていた。
複雑な感情を、深い心の奥底に宿していることを隠して。
ミランダ達と顔を合わさずに日常を送れるのは、ティアリーゼにとって、穏やかな時間をもたらした。
この別棟はとても静かだ。
基本的に使用人の存在すら感じられない。
食事は三食、本館から持ってきてくれるが、別棟にてティアリーゼの世話をする侍女は、基本的に一人。それもごく僅かな時間だけ。
それはティアリーゼが体調を崩し、高熱が続いた時も変わらず二、三時間に一度、使用人が確認に訪れるのみだった。
ちなみにミランダは、実の娘であるマリータには、常に何人もの世話人を付けて甘やかしている。
公爵家の娘として、今までと同様に教育を受けさせて貰えていることも変わらない。
家庭教師は公爵とゆかりのある、子爵家の夫人が選ばれた。
外面の良いミランダは、貴族間で波風を立てるのは危険だと理解している。
何より義娘であるティアリーゼを邪険に扱っている事実が知られ、社交界で広まっては困る。
今まで気に入らない使用人を女主人の権限で辞めさせてきたが、ティアリーゼの家庭教師の人選には口を挟まなかった。
それは婚約者についても同様である。
この国ランベールの筆頭貴族、クルステア公爵家の令嬢ティアリーゼは、隣国王家の血も流れている。ティアリーゼは現在、ランベール国で最も尊い姫君といえる。
高度な教育を受けた、高貴な血筋の淑女ティアリーゼが、身分の高い相手との婚約が決まるのは必然だった。
ティアリーゼの婚約者はランベール国の王子。
名をリドリスと言い、ティアリーゼと同い年の美しい少年。
リドリスとの婚約が決まると、ミランダは更にティアリーゼを疎むようになっていた。
ただし表面的には出さなくなり、分かりやすく憎悪の視線を向けられる事はなくっていた。
複雑な感情を、深い心の奥底に宿していることを隠して。
ミランダ達と顔を合わさずに日常を送れるのは、ティアリーゼにとって、穏やかな時間をもたらした。
この別棟はとても静かだ。
基本的に使用人の存在すら感じられない。
食事は三食、本館から持ってきてくれるが、別棟にてティアリーゼの世話をする侍女は、基本的に一人。それもごく僅かな時間だけ。
それはティアリーゼが体調を崩し、高熱が続いた時も変わらず二、三時間に一度、使用人が確認に訪れるのみだった。
ちなみにミランダは、実の娘であるマリータには、常に何人もの世話人を付けて甘やかしている。