妹に婚約者を奪われた私は、呪われた忌子王子様の元へ
妖精さんとお茶会
「騒がしいな、皆で僕を差し置いて遊んでいるのか?」
「あっ、ユリウスてめー!」
(ユリウス様のお知り合い?)
名を呼びながら妖精が羽を羽ばたかせ、ユリウスに突き進んでいく。
向かってきた妖精を掌で払いのけながら、ユリウスはターニャに指示する。
「何だ?ターニャ、取り敢えずハエ叩きを頼む」
「畏まりましたっ」
「だからハエじゃないって言ってるだろ!そもそもお前がこんな姿にしたんだろうがっ」
「ああ、忘れてた」
理解したと言わんばかりに、ユリウスは自身の掌を打った。
「皆に紹介しよう、妖精さんのユーノだ」
「だから妖精さんじゃねぇ!!」
◇
ユーノはれっきとした人間の少年で、尚且つ魔法使いらしく、日頃からしつこくユリウスに喧嘩を売っていた。
挙句ユリウスが村で雪下ろしを手伝っている最中に襲撃し、民家の屋根を少しだけ破壊してしまったらしい。
ユリウスのみならいざ知らず、村へ危害を加えてしまったため、お仕置きとして彼は掌サイズの小さな身体へと姿を変えられてしまった。ついでに妖精の羽もオマケとして付いてきたらしい。
そしてその姿のまま本の中へと閉じ込められていたとのこと。
◇
「俺の顔よりクッキーがデカいお陰で沢山食べられるぜ、ラッキー」
お茶と共に出された、きつね色のクッキーをユーノが持つと、彼の体に対して大き過ぎた。だが、彼は嬉しそうに両手で持ちながら頬張っている。
その様子を見ながらユリウスが微笑みかける。
「なんだ、随分と気に入っているじゃないか。ずっとそのままでいるか?」
「ふざけるなっ。それとこれとは話が別だ、さっさと戻しやがれ!ただし、このクッキーを食べ終わってからな」
早く人間の姿に戻せと言いながらも、小柄な身体を満喫しているように見える。
(ユーノさんには言えないけれど、妖精のお姿がとても似合っています……)
口は悪いが、美少年の外見に妖精の羽を携えた姿は、全く違和感がない。
音も立てずティーカップを置いたミハエルが口を開く。
「では、お前は正真正銘人間なのか」
「だから、さっきからそう言ってんだろ?あとお前じゃない、ユーノだ」
「ユーノはいつから、あの本の中にいた?」
質問を重ねてくるミハエルに、顰めっ面で答えていたユーノだが、返答に詰まったのか腕を組んで考える素振りをする。
「寝てたから分かんねぇ」とユーノが吐き捨てた途端、ミハエルとティアリーゼは魔法を掛けた張本人に視線を向けた。
ユリウスが顎に手を当てて思案する。
「ティアがここに来る少し前だな」
「あっ、ユリウスてめー!」
(ユリウス様のお知り合い?)
名を呼びながら妖精が羽を羽ばたかせ、ユリウスに突き進んでいく。
向かってきた妖精を掌で払いのけながら、ユリウスはターニャに指示する。
「何だ?ターニャ、取り敢えずハエ叩きを頼む」
「畏まりましたっ」
「だからハエじゃないって言ってるだろ!そもそもお前がこんな姿にしたんだろうがっ」
「ああ、忘れてた」
理解したと言わんばかりに、ユリウスは自身の掌を打った。
「皆に紹介しよう、妖精さんのユーノだ」
「だから妖精さんじゃねぇ!!」
◇
ユーノはれっきとした人間の少年で、尚且つ魔法使いらしく、日頃からしつこくユリウスに喧嘩を売っていた。
挙句ユリウスが村で雪下ろしを手伝っている最中に襲撃し、民家の屋根を少しだけ破壊してしまったらしい。
ユリウスのみならいざ知らず、村へ危害を加えてしまったため、お仕置きとして彼は掌サイズの小さな身体へと姿を変えられてしまった。ついでに妖精の羽もオマケとして付いてきたらしい。
そしてその姿のまま本の中へと閉じ込められていたとのこと。
◇
「俺の顔よりクッキーがデカいお陰で沢山食べられるぜ、ラッキー」
お茶と共に出された、きつね色のクッキーをユーノが持つと、彼の体に対して大き過ぎた。だが、彼は嬉しそうに両手で持ちながら頬張っている。
その様子を見ながらユリウスが微笑みかける。
「なんだ、随分と気に入っているじゃないか。ずっとそのままでいるか?」
「ふざけるなっ。それとこれとは話が別だ、さっさと戻しやがれ!ただし、このクッキーを食べ終わってからな」
早く人間の姿に戻せと言いながらも、小柄な身体を満喫しているように見える。
(ユーノさんには言えないけれど、妖精のお姿がとても似合っています……)
口は悪いが、美少年の外見に妖精の羽を携えた姿は、全く違和感がない。
音も立てずティーカップを置いたミハエルが口を開く。
「では、お前は正真正銘人間なのか」
「だから、さっきからそう言ってんだろ?あとお前じゃない、ユーノだ」
「ユーノはいつから、あの本の中にいた?」
質問を重ねてくるミハエルに、顰めっ面で答えていたユーノだが、返答に詰まったのか腕を組んで考える素振りをする。
「寝てたから分かんねぇ」とユーノが吐き捨てた途端、ミハエルとティアリーゼは魔法を掛けた張本人に視線を向けた。
ユリウスが顎に手を当てて思案する。
「ティアがここに来る少し前だな」