喫茶”diary”
昔は喫茶店と言えばヘビースモーカーが集う場所だった。俺もその一人だった。煙草を吸うために喫茶店に入った。
マスターは何も言わずに吸い殻でいっぱいになった灰皿を替えてくれたっけ。
今は禁煙、のようだな。煙草の匂いが一切しない。
暫くすると昔と変わらないカップ&ソーサーに入った漆黒の飲み物が運ばれて来た。角砂糖はテーブルに備え付けてある。小さなピッチャーに注がれたミルクがソーサーの上に置かれていた。このミルクピッチャーも昔と同じ。小さい見た目と違って結構重いのだ。俺はコーヒーに砂糖は入れないがミルクは入れる。ミルクを頼んでないのにな、良かった、と思った。
コーヒーは深い味わいで、ほっと一息の強い味方をしてくれた。肩の力がすっかり抜けた。ため息が出た。同時にくしゃみも出た。するとママさん?が、
「あら、大丈夫かしら。雨に濡れて冷えちゃった? 風邪引かないでね」
とカウンターの向こうから声を掛けてくれた。
「あ、ありがとうございます。ちょっと鼻がくすぐったかっただけで…」
と照れ笑いが出た。
「お大事に」
とママさん?が言い終えたところでドアが開いた。作業服の若い男性が入って来た。仕事終わりかな。
「いらっしゃいませ」
とママさん?が声を掛けると、
「エリカさん、傘立て外に出さないの?」
とママさんを「エリカさん」と呼んだ。エリカさんと言うのか。馴染みの客なんだな。
「あ、いけない。忘れてた。まだ降ってる?」
と、店の奥から傘の形をした傘立てを持って来て外に置いた。
「だいぶ小降りにはなったけど、まだ傘が要る感じだわね」
と店に戻りながらエリカさんが言った。
マスターは何も言わずに吸い殻でいっぱいになった灰皿を替えてくれたっけ。
今は禁煙、のようだな。煙草の匂いが一切しない。
暫くすると昔と変わらないカップ&ソーサーに入った漆黒の飲み物が運ばれて来た。角砂糖はテーブルに備え付けてある。小さなピッチャーに注がれたミルクがソーサーの上に置かれていた。このミルクピッチャーも昔と同じ。小さい見た目と違って結構重いのだ。俺はコーヒーに砂糖は入れないがミルクは入れる。ミルクを頼んでないのにな、良かった、と思った。
コーヒーは深い味わいで、ほっと一息の強い味方をしてくれた。肩の力がすっかり抜けた。ため息が出た。同時にくしゃみも出た。するとママさん?が、
「あら、大丈夫かしら。雨に濡れて冷えちゃった? 風邪引かないでね」
とカウンターの向こうから声を掛けてくれた。
「あ、ありがとうございます。ちょっと鼻がくすぐったかっただけで…」
と照れ笑いが出た。
「お大事に」
とママさん?が言い終えたところでドアが開いた。作業服の若い男性が入って来た。仕事終わりかな。
「いらっしゃいませ」
とママさん?が声を掛けると、
「エリカさん、傘立て外に出さないの?」
とママさんを「エリカさん」と呼んだ。エリカさんと言うのか。馴染みの客なんだな。
「あ、いけない。忘れてた。まだ降ってる?」
と、店の奥から傘の形をした傘立てを持って来て外に置いた。
「だいぶ小降りにはなったけど、まだ傘が要る感じだわね」
と店に戻りながらエリカさんが言った。