悪役令嬢は王子との秘密の双子を育てています 〜見つかったので処刑されるかと思いましたが、なぜか溺愛されました〜
「ルカ、君が先ほど使おうとしていたのは精霊魔法かい?」
「うん、ぼくはせいれいまほうつかいで、みずのせいれいとなかよしなんだよ。」
ルカがそう答えると、「リリスははなのせいれいさんと・・・」とリリスも続けた。するとフェルディナンド王子はメリアンの方をチラリと見た。当のメリアンは動揺を隠しきれず、微かに息を呑んだ。
「おうじはどんなまほうをつかうの?」
ルカは目を輝かせて聞く。
「私も君たちと同じ精霊魔法だ。」
「へー!じゃ、ぼくたちのししょうになってください。ぼくたち、ししょうをさがしてたのです!おかあさんは、ひのまほうつかいなので。」
「なってください。おねがいします。」
フェルディナンド王子はフっと笑った後、二人の頭を撫でながら「良いだろう」と答えた。
メリアンは、子供たちとフェルディナンド王子とのやり取りを見て、ヒヤヒヤした。王子は、子供たちが自分の子であることに、容姿を見て既に気付いていたのだろうが、これで確信したという表情だった。
けれど、そのことをメリアン本人には直接聞いてはこない。そんな態度がメリアンを混乱させた。本当はメリアンから正直に告げるべきなのかもしれないが、今は何もかもが予測不可能な状態で、下手に何かをすると事態を悪化させる可能性があるかもしれない。だからメリアンは、今は何も言わず、静かに状況を見守ることに決めた。